結論:のどを守るのは、特別な才能ではなく毎日の小さな習慣です
声を長く使い続けるために、いちばん大切なのは「ふだんのくせ」です。水を飲む、鼻で息を吸う、声を出す前にあたためる。どれも地味ですが、のどへの負担を大きく減らします。今日はその理由と、すぐできるやり方を順にお話しします。
なぜ習慣でのどがラクになるのか
声は、のどの奥にある「声帯」というやわらかいひだが、すばやくふるえて生まれます。このひだがうるおって、やわらかいほど、小さな力でふるえます。つまり、強くおさなくても声が出るのです。
反対に、ひだがかわいてかたくなると、声を出すために強い空気の力が必要になります。むりに力を入れると、ひだがこすれて、かすれや痛みが出やすくなります。やわらかさを保つことが、ラクに歌うための土台です。
のどにやさしい5つの習慣
毎日のなかで、つぎの5つを意識してみてください。
- 水をこまめに飲む:少しずつ、回数を分けて飲みます。部屋がかわくときは、加湿器でうるおいを足すと、のどのかわきを防げます。
- 鼻から息を吸う:鼻を通った空気は、あたたまり、しめり、ほこりも取れます。声帯がかわきにくくなります。
- 声を出す前にあたためる:いきなり大きな声を出しません。
- 声を休ませる時間をつくる:話しっぱなし・歌いっぱなしを避け、だまる時間をはさみます。
- 夜おそい食事を控える:寝る直前に食べて横になると、胃の中身がのどへ上がり、朝に声がかすれることがあります。食事と寝る時間を少し空けましょう。
声を出す前のあたため方(手順)
あたためは、こった体をほぐすことから始めます。
- 首と肩をゆっくり回し、力をぬきます。
- ストローを軽くくわえて、細く息を出します。または、くちびるを「プルル」とふるわせます。
- 小さな声で「んー」とハミングし、だんだん音を高くしたり低くしたりします。
ストローやハミングのように、空気の出口を細くする練習は、小さな力で声帯がきれいにふるえる感覚を育てます。3〜5分でも、声がぐっと出しやすくなります。
教えるときに役立つこと
生徒に習慣を教えるときは、「正しさ」より「続けやすさ」を先に伝えましょう。たくさんのルールを一度に渡すと、続きません。今日は水だけ、次は鼻呼吸だけ、と一つずつがおすすめです。
声を出し始めるときは、「息を吸ったら、何もしないで、そっと声を置く」と伝えると、力みが取れます。また、朝に声がかすれる生徒や、いつもより声が出にくい生徒には、生活のリズムをいっしょに見直してあげてください。
ただし、強い痛みや、長く続く不調があるときは、自己流で直そうとせず、耳鼻科などの専門機関に相談するよう必ず伝えましょう。教える人の役目は、診断ではなく、安心して学べる土台をつくることです。
声のケアを学び、人に伝える仕事に向いているか、まずは気軽に適性診断で確かめてみてください。
よくある質問
- 水はどのくらい飲めばよいですか。
- 一度にたくさんではなく、少しずつ回数を分けて飲むのが大切です。のどがかわく前に、こまめに口を湿らせる感覚で続けましょう。部屋がかわくときは加湿器も役立ちます。
- ウォームアップはどのくらいの時間が必要ですか。
- 3〜5分でも効果があります。首や肩をほぐし、ストローやハミングで軽く声を出すだけでも、声帯がやわらかくなり、声が出しやすくなります。長くやるより、毎回続けることが大切です。
- 朝に声がかすれるのは問題ですか。
- 寝る前の食事や、長く声を使ったあとに起こることがあります。生活のリズムを見直すと和らぐ場合が多いです。ただし、痛みが強いときや、かすれが長く続くときは、耳鼻科などの専門機関に相談してください。
参考にした一次情報
- MUSEION 声楽用語事典(声のケア(習慣)の章)

