声種別に選ぶおすすめの曲

解説カンタ監修: 上野目 泰之3

声の種類に合った版権切れの曲を、声種ごとに一曲ずつ具体的に紹介。音域の見つけ方から選び方のコツまで、発声を土台にやさしく解説します。

結論:声の種類に合う曲を選ぶと、練習も指導もスムーズになります

歌う曲は、声の種類(声種)に合わせて選ぶのが基本です。理由はシンプルです。自分の声に無理のない高さなら、ゆったり響かせられるからです。

逆に、背伸びした高さの曲は、のどに力が入りやすくなります。まずは土台である発声を整え、曲はその力を伸ばす道具と考えてください。

この記事では、版権の切れた曲(だれでも自由に使える楽曲)から、声種ごとの一曲を紹介します。

まず、自分の声の高さの「ホーム」を知る

声種は、らくに出せる音の範囲でおおまかに分かれます。目安はこうです。

  • ソプラノ:ピアノ中央ドより上が出しやすい、明るい高音の女性
  • メゾソプラノ/アルト:中央ド前後が居心地よい、厚みのある女性
  • テノール:中央ド付近を伸びやかに出せる男性
  • バリトン/バス:中央ドより下にゆとりがある、低めの男性

調べ方はかんたんです。ピアノやアプリで音を一つずつ上げ下げし、「あくびのように力まず出せる範囲」をさがします。その中心が、あなたの声の「ホーム」です。練習で広がるので、最初の見当で十分です。

声種ごとの、はじめの一曲

ここで挙げるのは、作曲家が亡くなって70年以上たった曲です。楽譜を自由に練習へ使えます。

  • ソプラノ:シューベルト「野ばら」。音域が狭く高すぎないので、息の流れをつかむ最初の一歩に向きます。
  • メゾ/アルト:フォーレ「夢のあとに」。中音域でなめらかに動くため、声の厚みを生かせます。
  • テノール:イタリア古典歌曲集の「カーロ・ミオ・ベン」。ゆっくりした旋律で、声を支える感覚を学べます。
  • バリトン/バス:同じ古典歌曲集の「アマリッリ」。低めで語るように歌え、響きの土台づくりに役立ちます。
  • 日本語で始めたい人:滝廉太郎「荒城の月」。ことばと音のつながりを感じやすい一曲です。

どれも、まず「サビで苦しくないか」を基準に選んでください。

選ぶときの3つのコツ

  1. いちばん高い音を先に確かめる — サビが苦しい曲は今は見送ります。
  2. 短い曲から始める — 1曲を歌いきる成功体験が、次への自信になります。
  3. 心が動く曲を選ぶ — 好きだと感じる曲は、練習が自然と続きます。

合わない高さを我慢して続けると、のどに負担がかかることがあります。声がかすれる、痛むといった不調が続くときは、早めに耳鼻咽喉科など専門機関へ相談してください

「曲を選んであげる力」は、教える仕事につながる

曲選びのものさしを持つと、それはそのまま人を導く力になります。

生徒の声を聴き、ホームの高さを見立て、今の実力に届く一曲を手渡す。さらに「なぜこの曲なのか」を言葉で説明できる。ここまでそろうと、生徒は納得して練習に向かえます。

版権の切れた曲は、教える場面でも心強い味方です。楽譜をコピーして配っても著作権の心配がなく、教材として安心して使えるからです。歌う側だけでなく、声を支える側として関わる道もある、ということです。

あなたに合う関わり方を、のぞいてみませんか

声との付き合い方は一つではありません。歌い手として深める道も、誰かの声を育てる道もあります。どちらが上ということはなく、向き不向きがあるだけです。

まずは発声という土台をていねいに整える。そのうえで、自分が心地よいと感じる方向へ少しずつ進めば大丈夫です。

歌う楽しさと、教える喜び。どちらに心が傾くか迷うなら、適性診断であなたの声の向き合い方をのぞいてみてください。

よくある質問

自分の声の種類がわかりません。どう調べますか?
ピアノやアプリで音を一つずつ上下させ、力まず出せる範囲をさがします。その中心が「ホーム」の高さで、声種の見当になります。中央ドより上が楽ならソプラノ寄り、下にゆとりがあれば低声寄りです。練習で広がるので、最初は決めつけずに進めて大丈夫です。
なぜ版権の切れた曲をすすめるのですか?
作曲家が亡くなって70年以上たった曲は、だれでも自由に使えるからです。楽譜をコピーして練習や指導に使っても著作権の心配がなく、はじめの一曲として安心して選べます。
合わない曲を歌い続けると、どうなりますか?
高すぎる曲を我慢して続けると、のどに負担がかかることがあります。声がかすれる、痛むといった不調が続くときは、無理をせず早めに耳鼻咽喉科など専門機関へ相談してください。

参考にした一次情報

  • CPDL(Choral Public Domain Library)パブリックドメイン声楽譜
  • IMSLP(Petrucci Music Library)パブリックドメイン楽譜
  • MUSEION 版権切れ声楽データベース(vocal_works)