まず結論
オラトリオの独唱は、物語や祈りを一人で歌い伝える分野です。土台はどの歌とも同じで、ていねいな発声です。
オラトリオとは、宗教や物語をテーマにした大きな声楽作品です。オペラと違って、衣装や演技はあまり使いません。歌う声と言葉で、場面を伝えます。その中で一人だけで歌う部分を「独唱(ソロ)」と呼びます。
オラトリオの独唱がもつ特ちょう
この分野には、いくつかの分かりやすい特ちょうがあります。
- 長い音をまっすぐ保つ…ゆれない声が物語を落ち着かせます。
- 言葉をはっきり届ける…内容が聞き手に伝わることを大切にします。
- 合唱や楽器と息を合わせる…一人だけで完結しないことが多いです。
- 強くなくても通る声…大声よりも、よく響く声が役に立ちます。
これらはすべて、発声という同じ土台の上にあります。土台ができていれば、後から少しずつ積み上げられます。
土台になる発声を整える
何より先に、楽な発声を身につけることが近道です。理由は、特別な技より基本のほうが長く役立つからです。
具体的には、次の三つから始められます。
- 息をゆっくり長くはく練習
- 母音(あ・い・う・え・お)をはっきり鳴らす練習
- 高さを変えても力まないで歌う練習
毎日少しずつでかまいません。一人で悩まず、録音して自分の声を聞き返すのも良い方法です。
なお、のどに痛みや強い不調があるときは無理をしないでください。続くようなら、医療機関など専門の窓口へ相談してください。
版権切れの名曲から始める
最初の一曲には、版権切れ(だれでも自由に使える楽譜)の曲が向いています。古い名曲なら、楽譜も多く出回っているからです。
- ヘンデルのオラトリオ「メサイア」のソロ(1741年作・作曲者は1759年に他界)
- バッハの宗教曲のアリア(作曲者は1750年に他界)
- メンデルスゾーンのオラトリオ「エリヤ」のソロ(作曲者は1847年に他界)
- ハイドンのオラトリオ「天地創造」のソロ(作曲者は1809年に他界)
これらは作曲者が亡くなって長い時間がたっているため、多くが自由に使えます。短いソロから選べば、最初の練習にちょうど良いです。
教える道もある
歌う人としてだけでなく、教える側になる道もあります。これは大切な視点です。
教えるときに役立つのは、次のような力です。
- 自分がつまずいた所を覚えていて、言葉で説明できること
- 相手の声をよく聞いて、合った言葉をかけられること
- 版権切れの曲を知っていて、安心して教材に使えること
オラトリオの独唱で身につけた「言葉を届ける意識」は、教える場面でもそのまま生きます。歌う経験は、伝える力になります。
さいごに
この道で成果が出るかは、人それぞれです。だれでも必ず歌手になれる、とは言いません。でも、土台の発声はだれにとっても役立ちます。
向いているか気になったら、適性診断で確かめてみてください。あなたに合った一歩が、きっと見つかります。
よくある質問
- オラトリオとオペラは何がちがいますか?
- オラトリオは衣装や演技をあまり使わず、声と言葉で物語や祈りを伝えます。オペラは舞台で演じます。どちらも土台は同じ発声です。
- 最初はどの曲から練習すると良いですか?
- 版権切れの短いソロがおすすめです。ヘンデルやバッハの古い名曲は楽譜も多く、自由に使えるものが多いです。短い曲から始めると無理がありません。
- 声が大きくないと独唱はできませんか?
- 大声でなくても大丈夫です。よく響く声のほうが役に立ちます。ていねいな発声を続ければ、力まなくても通る声に近づけます。
参考にした一次情報
- ヘンデル オラトリオ「メサイア」(1741年作曲・作曲者は1759年没・パブリックドメイン)
- J.S.バッハ 宗教曲アリア(作曲者は1750年没・パブリックドメイン)
- メンデルスゾーン オラトリオ「エリヤ」(作曲者は1847年没・パブリックドメイン)
- ハイドン オラトリオ「天地創造」(作曲者は1809年没・パブリックドメイン)


