アカペラグループで歌う

解説カンタ監修: 上野目 泰之3

何人かで声を重ねて歌うアカペラの楽しみ方と、その土台になる発声、教える道までをやさしく紹介します。

結論:アカペラは「声だけ」で重ねて作る歌です

アカペラとは、楽器を使わず、声だけで重ねて歌う形のことです。一人ではなく、何人かで音を合わせます。だから、相手とそろえる力が大切になります。

そして、その土台はいつも発声です。ここを整えると、合わせる楽しさがぐっと深まります。

アカペラのきほん

アカペラには、いくつかの役わりがあります。

  • メロディー — 主役になる旋律を歌う役です。
  • ハモリ — メロディーに音を重ねる役です。
  • ベース — いちばん低い音で土台を作る役です。

一人ひとりが、ちがう高さの音を受け持ちます。それが重なって、ひとつの響きになります。一人で歌うのとは、まったくちがう楽しさがあります。

そろえる楽しさ

アカペラでいちばん大切なのは、音を合わせることです。合わせるポイントは、おもに3つあります。

  1. 音の高さ — 同じ和音の中で、自分の音を正しく保ちます。
  2. 声の色 — みんなで響きをそろえると、ひとつの声に聞こえます。
  3. 息のタイミング — 出だしや切り方を、そろえます。

これらは、練習でだんだん身につきます。最初からできなくても大丈夫です。

版権切れの曲から始めよう

楽譜を探すなら、まずは版権切れ(パブリックドメイン)の曲が安心です。作曲家が亡くなって70年以上たった曲は、自由に使えます。

声だけで歌える、有名な曲があります。

  • 「汝らが我を愛さば」(タリス/1505〜1585) — 英語の合唱曲です。やさしく、入門にぴったりです。
  • 「鹿のごとく」(パレストリーナ/1525〜1594) — 声が追いかけ合う形を学べます。
  • 「おお大いなる神秘」(ビクトリア/1548〜1611) — 響きの美しさを味わえます。

日本の曲なら、滝廉太郎(1879〜1903)の「花」や「荒城の月」も版権切れです。合唱に編曲された楽譜があります。

体をいたわりながら

声を重ねるとき、つい大きな声を出しがちです。でも、力で押すのは禁物です。のどを締めると、声がかれやすくなります。

リラックスして、息をまっすぐ流す。これが、長く歌い続けるコツです。

もし、のどに痛みや強い不調を感じたら、すぐに休んでください。続くときは、専門の機関に相談しましょう。声を守ることが、何より大切です。

教える視点:合わせる力は教えられる

アカペラには、「教える」という関わり方もあります。

グループで歌うとき、音がうまく合わないことはよくあります。そんなとき、どこがずれているかを聞き取り、直し方を言葉で伝える人がいると、全体がまとまります。これは、指導者の大切な仕事です。

自分が完ぺきに歌える必要はありません。一人ひとりの声を聞き分け、合う道を示す。その力は、学んで身につけられます。歌う側から、まとめる側へ。そんな道もあります。

ただし、これは「アカペラで必ず仕事になる」という話ではありません。あくまで、関わり方のひとつとして紹介しています。

まず声の土台から

アカペラも、声優も、合唱も、入り口はみんな同じです。土台は発声です。ここがしっかりすると、どの道にも進みやすくなります。

「自分は合わせて歌うのが好きかな」「教える側に向いているかな」。そう感じたら、適性診断で、いまの自分に合う道を確かめてみてください。

よくある質問

音楽の経験がなくても、アカペラを始められますか?
はい、始められます。最初は一つのパートを歌うことから入れます。音を合わせる力は、練習でだんだん身につきます。あせらず続けることが大切です。
どんな楽譜を選べばいいですか?
まずは版権切れ(パブリックドメイン)の曲が安心です。作曲家が亡くなって70年以上たった曲は、自由に使えます。タリスやビクトリアの合唱曲、滝廉太郎の日本の歌などが入門に向いています。
アカペラは仕事になりますか?
歌う仕事もありますが、それを約束するものではありません。むしろ、グループをまとめたり、音の合わせ方を教えたりする道もあります。大切なのは、自分がどの関わり方に心ひかれるかです。

参考にした一次情報

  • 版権切れ声楽データベース vocal_works(合唱レパートリー・CPDL一次情報)
  • MUSEION 声楽用語事典(発声・共鳴の章)