結論:水を十分にとると、声帯はうるおって、軽い力でラクに声が出ます。乾くと声がかすれやすくなります。
声は、のどの奥にある「声帯(せいたい)」という、うすいひだが、ふるえて生まれます。このひだの表面が、いつもしっとりしていることが、よい声のもとになります。
水でうるおうと、なぜ声がラクになるの
声帯がうるおっていると、ふるえ始めるのに必要な「息の力」が、少なくてすみます。これを研究の世界では「発声のしきい値」と呼びます。
- うるおっている声帯:軽い息で、すっと声が出る
- 乾いた声帯:強い息がいるので、のどに負担がかかる
ある実験では、体の水分が足りないと、声帯のふるえの効率が、三割ほど落ちたと報告されています。つまり、水分は「のどの油」のような働きをするのです。
水分には二つの種類がある
声のうるおいには、二つの道すじがあります。両方を、組み合わせて使うのがコツです。
- 体の中からのうるおい:水を飲んで、体ぜんたいの水分をふやす方法です。じわじわ効きますが、土台になります。
- 表面からのうるおい:湯気を吸ったり、加湿器を使ったりして、ひだの表面を直接しめらせる方法です。すぐ効きますが、効き目は短めです。
大事なことが一つあります。のどに水をスプレーしても、その水は声帯までは届きません。ですから、こまめに「飲む」ことが基本になります。
飲み方のコツ
一気にがぶ飲みするより、少しずつ何回も飲むほうが、声帯にはやさしいです。
- 一日に一・五〜二リットルくらいを目安にする
- 冷たい水より、常温か、ぬるめの白湯(さゆ)が、のどにやさしい
- 朝おきたら、まずコップ一杯
- おしっこの色が、うすい黄色なら、水分は足りているサイン
ひとつ注意があります。コーヒー・お茶・お酒は、体の水分を外に出しやすくします。飲んだら、その分、水を足してあげましょう。
教えるときに役立つこと
生徒に「水を飲んで」とだけ言っても、なかなか続きません。理由とタイミングを、セットで伝えるのがコツです。
- 理由を見せる:「うるおうと、軽い息で声が出るよ」と、しくみで説明すると納得しやすいです。
- 練習前を習慣に:レッスンの前に、コップ一杯を一緒に飲む流れを作ると、自然に身につきます。
- がぶ飲みを止める:直前に大量に飲むと、トイレが近くなります。前もって、少しずつをすすめましょう。
- 声がかれた日:水分・休み・声の使い方を、一緒に見直すきっかけにします。
ただし、声がかすれたまま、なかなか治らないときや、強い痛みがあるときは、別の原因も考えられます。そのときは無理をさせず、耳鼻いんこう科などの専門の機関へ、相談するようにすすめてください。
水と声の話は、生徒に伝えやすく、すぐ役に立つテーマです。あなたが「教える人」に向いているか、まずは適性診断で確かめてみてください。きっと、あたらしい気づきがありますよ。
よくある質問
- 一日にどれくらい水を飲めばいいですか。
- 目安は一・五〜二リットルくらいです。一気に飲まず、少しずつ何回も飲むのがコツです。おしっこの色がうすい黄色なら、水分は足りているサインです。
- のどにスプレーすれば、声帯はうるおいますか。
- スプレーの水は声帯までは届きにくいです。表面をうるおすなら湯気を吸う方法が役立ちます。土台はやはり、こまめに水を飲むことです。
- コーヒーやお酒は飲んではいけませんか。
- だめではありません。ただ、これらは体の水分を外に出しやすくします。飲んだら、その分の水を足してあげると、のどのうるおいを保ちやすくなります。
参考にした一次情報
- MUSEION 声楽用語事典(声のケア(水分)の章)

