声がかれる原因とやさしい対処

解説ケン監修: 上野目 泰之3

声がかれるのは声帯のつかれとはれのサイン。休ませる・うるおすという基本のケアと、教えるときの声かけまでをやさしく解説します。

結論:声がかれるのは、のどがつかれて少しはれたサインです

声がかれる主な原因は、声を出す部分のつかれと、はれ(むくみ)です。だから、まず休ませて、うるおいを足すのが基本です。むずかしい薬や特別な道具はいりません。今日は、しくみと、やさしい直し方を、順番にお話しします。

声がかれるって、体のなかで何が起きているの

声は、のどの奥にある「声帯(せいたい)」という小さなひだがふるえて生まれます。声帯はとてもうすくて、やわらかい場所です。声を出しすぎたり、かわいたりすると、声帯が少しはれます。はれると、ふるえ方がきれいにそろいません。その結果、声が「かすれる」「ざらつく」「高い音が出にくい」という形になります。

つまり声がかれるのは、声帯が「ちょっと休みたい」と言っているサインなのです。

こんなときに、かれやすい

声がかれやすい場面は、だいたい決まっています。

  • 長く声を出したあと:会話や歌が続くと、声帯がつかれてはれます。
  • かわいた空気のなか:のどが乾くと、声帯のすべりが悪くなります。
  • タバコ・お酒・コーヒー:のどをかわかせて、はれやすくします。
  • かぜのとき:声帯がはれているので、無理に出すと悪くします。
  • 大声やさけび声:強い力が声帯にぶつかり、傷の原因になります。

ひとつだけでなく、いくつか重なると、よりかれやすくなります。

やさしい直し方の手順

直し方は、次の順番がおすすめです。むずかしいことはしません。

  1. まず声を休ませる:かれ始めたら、少しのあいだ声を使う量を減らします。これがいちばん効きます。
  2. 水をこまめに飲む:のどの内側がうるおうと、声帯も動きやすくなります。
  3. 部屋をうるおす:かわく季節は、加湿器やぬれタオルで空気をしめらせます。
  4. タバコ・お酒・コーヒーを少し控える:のどの乾きをふせげます。
  5. ささやき声は使わない:小声よりも、ささやきの方が、のどに力が入りやすいです。

たいていは、数日休ませると楽になります。

ここだけは気をつけて

かれが長く続くときは、無理をしないでください。声を出すとのどが痛い、息がもれてほとんど声にならない、こうした強い不調があるときは、自分で直そうとしないことが大切です。痛みや強い不調があれば、耳鼻いんこう科などの専門機関へ相談してください。 早めに見てもらうほど、回復もはやくなります。声を仕事にしたい人ほど、のどを大事にする習慣が力になります。

教えるときに役立つこと

生徒さんが「声がかれた」と言ったら、まず原因を一緒にさがしてあげてください。原因がわかると、本人も安心します。次の声かけが役に立ちます。

  • 「昨日、たくさん話したり歌ったりした?」と、声の使いすぎを確かめる。
  • 「お水、飲めてる?」「部屋、かわいてない?」と、うるおいを確かめる。
  • かれているときは、高い音やむずかしい曲を、その日は休ませる。
  • 「がんばって出して」とは言わない。むしろ「今日は休もう」と伝える。

そして、痛みや長引くかれがあるときは、レッスンで直そうとせず、専門機関をすすめてください。これは、生徒さんを守る大切な指導です。「休む勇気」を教えられる人は、信頼される指導者になれます。

声のしくみを、人にやさしく説明できるようになりたいと感じたら、まずは適性診断で、いまの自分に合う学び方を確かめてみてください。

よくある質問

声がかれたら、すぐ病院に行くべきですか?
数日休ませて、水分とうるおいを足せば、多くは楽になります。ただし、声を出すと痛い、ほとんど声が出ない、かれが長く続く、こうしたときは無理をせず、耳鼻いんこう科などの専門機関へ相談してください。
ささやき声なら、のどにやさしいですか?
いいえ、ささやき声は、のどに力が入りやすい出し方です。声がかれているときは、ささやきよりも、声を使う量そのものを減らす方が安心です。
水を飲むと、本当に声によいのですか?
はい。のどの内側がうるおうと、声帯が動きやすくなります。こまめに少しずつ飲むのがおすすめです。かわいた季節は、部屋をうるおすことも一緒に行うとより効果的です。

参考にした一次情報

  • MUSEION 声楽用語事典(声のケア(声枯れ)の章)