支え(アポッジョ)の作り方をやさしく
歌うときの「支え(アポッジョ)」を、吸った形を保つ体の使い方として中学生にも分かるやさしい言葉で解説し、家でできる手順と教え方のコツまで紹介します。

支え(アポッジョ)とは、吸った形をたもちながら息を少しずつ送る体の使い方です
「支え」はイタリア語で「アポッジョ」と言います。歌う間ずっと、お腹や体の中ほどで息をささえる感じのことです。むずかしい力みではありません。吸ったときの広がりを、声の終わりまでキープするだけです。これができると、声が安定して、楽に大きく出せます。
支えのしくみをやさしく
声は、のどから出る息の流れでつくられます。この息の量がそろっていると、声もそろいます。支えは、その息の流れをなめらかに保つしくみです。
体の中では、こんなことが起きています。
- 息を吸うと、おなかの下にある「横かくまく」という筋肉が下がる
- お腹やわき腹が、外に広がる
- 声を出す間、その広がりをゆっくりもどしていく
ポイントは「いっきに息をはかない」ことです。広がった形をたもったまま、少しずつ息を送ります。これがアポッジョの中心です。
支えが足りないと、声は細くなります。高い音でつまったり、音が下がったりします。逆に、力を入れすぎるのもよくありません。のどに負担がかかり、声がつかれやすくなります。ちょうどよい強さを見つけることが大切です。
おうちでできる支えの作り方(手順)
道具はいりません。立ったままで大丈夫です。
- 両手を、こしのほねの上あたり(わき腹)に当てる
- 鼻からゆっくり息を吸う。わき腹が横に広がるのを手で感じる
- その広がりをキープしたまま、「あー」と声を出す
- 声の最後まで、わき腹がしぼまないように意識する
- 5回ほどくり返す
最初は短い「あー」で十分です。なれてきたら、声をのばす時間を少しずつ長くします。歌の中でも、同じ広がりを保てるか試してみましょう。
ねたままで練習すると、もっと分かりやすいです。あおむけになって息を吸うと、お腹は自然にふくらみます。これが支えの土台になる動きです。
教えるときに役立つこと
人に支えを教えるとき、いきなり「お腹に力を入れて」と言うのはおすすめしません。力みすぎる人が多いからです。
- まず手で感じてもらう。わき腹に手を当て、広がりを自分で確かめてもらう
- 「力を入れる」より「広がりを保つ」と言いかえる。言葉だけで印象が変わる
- 良い・悪いを、声の太さで一緒に聞く。本人が違いに気づけると、上達が早い
- 強さは音の高さや曲で変わる。いつも同じ強さではない、と伝える
支えは、初心者からベテランまで、ずっとみがき続けるものです。一度で完成しなくて大丈夫、と伝えると、生徒さんは安心します。
なお、練習中にのどや胸に痛みや強い不調があれば、無理をせず専門の機関に相談してください。教える側も、この一言をいつも添えると安心です。
支えを「教えられる」ようになると、指導の幅は大きく広がります。声を教える仕事に向いているか気になった方は、適性診断で確かめてみてください。今のあなたに合う学び方が見えてきます。
よくある質問
- 支え(アポッジョ)は、お腹に力を入れることですか?
- いいえ、ぎゅっと力を入れることとは少しちがいます。息を吸ったときの体の広がりを、声の終わりまで保つ感じです。力みすぎると、のどに負担がかかります。「広がりをキープする」と考えると分かりやすいです。
- 支えができているか、どうやって確かめますか?
- わき腹に両手を当ててみてください。声を出している間、その部分がすぐにしぼまなければ、支えが働いています。声が細くならず、楽に出せていれば、よい目安になります。
- 毎日どれくらい練習すればよいですか?
- 短い時間でも大丈夫です。1日数分、「あー」と声をのばす練習から始めましょう。大切なのは長さより毎日続けることです。もし練習中にのどや胸に痛みや強い不調があれば、無理をせず専門の機関に相談してください。
参考にした一次情報
- MUSEION 声楽用語事典(支えの章)
