アマチュア歌手から教える側へ回るには

体験談ハル監修: 上野目 泰之2

趣味で歌っていた人が「教える側」に回るまでの道のりを、一人の事例を通して具体的に紹介します。

結論

歌が好きなアマチュアでも、学び方と教え方を順に身につければ、教える側へ回る道はちゃんと開けます。

ある一人の歩み

ここでは「ミナトさん(仮名)」という人の歩みを紹介します。会社員をしながら、10年ほど合唱を続けてきた人です。

ミナトさんは、ずっと自分が歌う側でした。でもある日、後輩から「どうやって声を出しているの」と聞かれます。うまく説明できませんでした。これが、教える側へ目を向けたきっかけです。

大事な前提をひとつ。ボイストレーナーに国の資格はありません。だれでも名乗れます。だからこそ、本人がどれだけ学んだかが、そのまま中身になります。

まず「自分の感覚」を言葉に変える

ミナトさんが最初にやったのは、自分の歌い方を言葉にすることでした。

  • 息をどこから出しているか
  • どこに力が入りやすいか
  • 高い音と低い音で、何を変えているか

歌える人ほど、体が勝手に動きます。でも教えるには、それを言葉にする必要があります。「なんとなく」では人に伝わらないからです。

学び方には順番がある

次に、ミナトさんは学ぶ順番を決めました。あれもこれもと欲ばらず、土台から積みました。

  • 体のしくみ:息と声がどう作られるかを、やさしい本で学ぶ
  • 聞く力:人の声を聞いて、何が起きているかを当てる練習
  • 直し方:相手に合わせた言葉や練習を選ぶ

ここで大切なのは、独りで抱えこまないことです。学ぶ仲間や、相談できる先生がいると、回り道が減ります。

教える前に「小さく試す」

いきなり教室を開く必要はありません。ミナトさんは、まず友人ひとりに30分つき合うことから始めました。

小さく試すと、自分の説明が伝わるかどうかが分かります。伝わらなければ、言い方を変えればよいだけです。失敗は、教え方をみがく材料になります。

教えるときに役立つこと

ここが、この記事でいちばん伝えたい部分です。

教える人に必要なのは、「うまく歌えること」だけではありません。相手の今を、そのまま受け止める力です。

  • 相手ができないことを、責めない
  • できたことを、その場で言葉にして返す
  • 一度に多くを求めず、一歩ずつ進める

声は、心や体の調子に左右されます。もし相手が痛みや強い不調を訴えたら、無理をさせず、専門の機関へ相談をすすめてください。これは教える人の大切な役目です。

歌える人が教える側に回ると、自分の歌も見つめ直せます。教えることは、学び直すことでもあるのです。

まとめ

ミナトさんは特別な人ではありません。順番を守り、小さく試し、独りで悩まなかっただけです。あなたにも、同じ道を歩むことはできます。

自分に向いているか気になった方は、適性診断で確かめてみてください。きっと、次の一歩が見えてきます。

よくある質問

ボイストレーナーになるのに資格は必要ですか。
国の資格は必要ありません。だれでも名乗れます。だからこそ、自分でしっかり学ぶことが中身になります。安心して、土台から学び始めてください。
歌がとても上手でないと、教えられませんか。
上手さだけが条件ではありません。相手の声を聞き、できたことを返し、一歩ずつ進める力が大切です。これは学んで身につけられます。
何から始めればよいですか。
まず自分の歌い方を言葉にしてみましょう。次に体のしくみを本で学び、友人ひとりに短く教えてみます。小さく試すのが近道です。