まず結論:肋骨を横へ広げて吸うと、息が長くもち、のどがラクになります
肋骨を横に広げる呼吸は、声を出すための土台になります。おなかだけをふくらませる呼吸より、息をたくさんためられます。すると、長いフレーズを歌っても声がぶれにくくなります。このページでは、そのしくみと、やり方の手順を、やさしく説明します。
どんなしくみなの?
肋骨は、むねを囲んでいる骨のかごです。このかごは、横や後ろに広がる動きができます。
息を吸うとき、体の中では二つのことが同時に起きます。
- 横かくまく(むねとおなかの間にある、うすい筋肉のまく)が下に下がる
- 肋骨と肋骨の間の筋肉が、肋骨を外へ広げる
この二つがそろうと、空気の入る部屋が大きくなります。つまり、たくさん吸えます。むせいおんの世界では、これを「肋骨と横かくまくの呼吸」と呼びます。前・横・後ろが、まんべんなくふくらむのが理想です。
いきなり全部はむずかしい
「むねだけ」「おなかだけ」にかたよると、息はうまくたまりません。とくに、肩が上がる吸い方は、つかれやすくて向いていません。
大切なのは、肋骨を「広げたまま」少しキープすることです。これができると、声を支える力が安定します。
やり方の手順
次の順番でためしてください。
- いすに、せすじをのばして、軽くこしかける
- 両手のひらを、わきばら(肋骨の横)にそっとあてる
- 鼻からゆっくり息を吸う。手をおし返すように、肋骨を横へ広げる
- 広がった感じを、二びょうほどキープする
- 細く長く、口から息をはく。肋骨はすぐにしぼませない
うまくいくと、手のひらが外へおされる感じがあります。鏡で、横の動きを見るのもよい方法です。
「背中で吸う」というイメージも役に立ちます。後ろの肋骨が広がると、呼吸がもっと深くなります。
教えるときに役立つこと
教える相手は、最初は感覚をつかめないことが多いです。言葉だけで「広げて」と言っても、伝わりにくいです。
そこで、次のくふうが効きます。
- 生徒のわきばらに、生徒自身の手をあてさせる。動きを手で感じてもらう
- 「手をおし返してね」と、目あてをはっきり伝える
- 鏡を使い、横の広がりを目で確かめてもらう
- 細いストローに、長く息をはく練習を組み合わせる
人によって、つかみやすいイメージはちがいます。「横」「後ろ」「広げたまま」など、言いかえをいくつか用意しておくと、相手に合わせて選べます。
なお、肋骨やわきばらに痛みや強い不調があるときは、無理をしないでください。その場合は、医療機関など専門のところへ相談してください。指導は、あくまで「学んで、できるようになる」ためのものです。
さいごに
肋骨を広げる呼吸は、数週間つづけると、だんだん自然になります。あせらず、少しずつでだいじょうぶです。
声を教える仕事が自分に向いているか、気になった方は、適性診断で確かめてみてください。気軽な一歩として、おすすめです。
よくある質問
- おなかの呼吸と、どこがちがいますか?
- おなかだけをふくらませる呼吸は、横かくまくが中心です。肋骨を広げる呼吸は、それに加えて、肋骨を横や後ろへも広げます。空気の入る部屋がより大きくなるので、息が長くもちやすくなります。
- うまく広がっているか、どう確かめますか?
- わきばら(肋骨の横)に手をあてて吸ってみてください。手のひらが外へおされたら、肋骨が広がっています。鏡で横の動きを見るのも、わかりやすい方法です。
- 毎日どのくらい練習すればよいですか?
- 短い時間でも、毎日つづけるのがおすすめです。数週間ほどで、だんだん自然な動きになっていきます。痛みや強い不調を感じたら、無理をせず、専門のところへ相談してください。
参考にした一次情報
- MUSEION 声楽用語事典(呼吸(肋骨)の章)

