ファルセット(裏声)の出し方とコツ

やり方ケン監修: 上野目 泰之2

ファルセット(裏声)は声帯のふちだけがそっと触れ合う、軽くて息っぽい声で、力を抜くほど出しやすくなります。

ファルセット(裏声)は「力を抜く」ほど出しやすくなる

ファルセット(裏声)は、声帯のふちだけがそっと触れ合って鳴る、軽くて息っぽい声です。結論から言うと、出すコツは「のどに力を入れない」ことです。強く出そうとがんばるほど、うまくいかなくなります。まずはため息のように、ふわっと高い音をのせてみましょう。

ファルセットが鳴るしくみ

声を出すとき、のどの奥にある声帯という2まいのひだがふるえています。

ふつうの話し声では、声帯ぜんたいが厚くふるえます。いっぽうファルセットでは、声帯のふちの部分だけが軽くふるえます。声帯の中の筋肉はほとんど働きません。だから声が軽く、うすくなります。

このとき、声帯のとじ方はゆるめです。すき間から息がもれます。これが、ファルセットの「息っぽい音」の正体です。

裏声(ファルセット)と「ヘッドボイス」のちがい

にた声に「ヘッドボイス」があります。ちがいを知ると、教えるときに役立ちます。

  • ファルセット…とじ方がゆるく、息がもれやすい。軽くてふわっとした音。
  • ヘッドボイス…とじ方が少ししっかりして、芯のある高い音。

どちらも高い音ですが、息のもれ方がちがいます。まずはファルセットから始めて、少しずつ芯を足していくと、ヘッドボイスにつながります。

ファルセットの出し方(手順)

順番にためすと、つかみやすくなります。

  1. のどの力をぬく…あくびのあとのように、のどを広げてゆるめます。
  2. 小さい音で始める…大きく出そうとしない。弱いところからで大丈夫です。
  3. 「フー」と息をのせる…ため息に高い音をそっとのせます。
  4. 「ウ」「オ」でためす…口をすぼめる音は、ファルセットが出やすいです。
  5. 「ン」で上にのぼる…ハミング(鼻歌)で、ゆっくり高い音へ動かします。

うまく出たら、その感じを覚えます。毎日少しずつで十分です。

教えるときに役立つこと

教える人は、次の3つを見てあげてください。

  • 力みのチェック…かたや、あごに力が入っていないか。力みは音をかたくします。
  • 混同をふせぐ…生徒が「息っぽいファルセット」と「芯のあるヘッドボイス」を取りちがえていないか、耳で確かめます。
  • 無理をさせない…高い音を強く追わせない。男性は特に、急に大声で出すと負担になりやすいです。

声は人によってちがいます。だから、その人の出しやすい高さから始めるのが安全です。「できた感覚」を一緒に言葉にすると、生徒は再現しやすくなります。

なお、声を出していて強い痛みや、声がれが長く続くときは、無理に練習を続けないでください。早めに耳鼻いんこう科などの専門の機関に相談してください。これは指導でも同じ大切な約束です。

声を教える仕事に向いているかどうか、気になった方は、ぜひ適性診断で確かめてみてください。今のあなたの強みが、やさしく見えてきます。

よくある質問

ファルセットと裏声は同じものですか?
ほぼ同じ意味で使われます。声帯のふちだけが軽くふるえて、息っぽく聞こえる高い声のことです。男性の裏声がこのファルセットにあたります。
息っぽくならず、もっとしっかりした高い声にするには?
まずファルセットで高い音に慣れてから、少しずつ芯を足していきます。「ウ」や「オ」で小さく出し、とじる感じを軽く足すと、ヘッドボイスに近づきます。一人で難しいときは、教える人に耳で確かめてもらうと安全です。
裏声の練習でのどが痛くなりました。続けてよいですか?
いいえ、痛いときは練習を止めてください。力みすぎのサインのことが多いです。強い痛みや、声がれが長く続くときは、耳鼻いんこう科などの専門の機関に相談してください。

参考にした一次情報

  • MUSEION 声楽用語事典(発声技術(ファルセット)の章)