風邪のときの声との付き合い方

解説ケン監修: 上野目 泰之3

風邪で声がかれたら、まず声を休ませ、湿りと水分でのどを守るのが基本。ヒソヒソ声や咳ばらいは逆効果という落とし穴と、教えるときの声かけを平易に解説します。

風邪のときは「声を休ませる」が最優先。むりに出さず、湿りと水分でのどを守りましょう

風邪をひいたら、まず声を休ませてください。これがいちばん大切です。声を出すひだ(のどの中で声を作る部分)は、とても弱い場所です。はれているときに使うと、回復がおくれます。だからこそ「休む・うるおす・水をとる」の3つを守ります。

なぜ風邪のとき声がかれるの

風邪をひくと、のどの中がはれます。声を作るひだも、いっしょにむくみます。

  • むくんだひだは、うまくふるえません
  • そのため、声がかれたり、低くなったりします
  • かわいた空気は、のどの水分をうばいます
  • すると、ひだはもっと動きにくくなります

つまり、声がれは「のどがつかれているサイン」です。サインが出たら、休ませる合図だと考えてください。

やってはいけないこと

風邪のときに、ついやりがちな失敗があります。知っておくと、のどを守れます。

  • ヒソヒソ声を出す…じつは逆効果です。小さい声のほうが、のどに力が入ります。話したいときは、メモや文字で伝えましょう。
  • 大きな咳ばらいをくり返す…のどを強くたたく動きです。声のひだをきずつけます。かわりに、つばを飲みこむか、軽くハミングしてください。
  • むりに歌う・しゃべり続ける…はれた場所を、さらにいためます。

家でできる、やさしいケア

休ませながら、のどをうるおしてあげましょう。むずかしい道具はいりません。

  • 水をこまめに飲む…のどがうるおうと、声のひだは少ない力で動けます。一気に飲むより、少しずつ続けるのが大切です。
  • 湯気を吸う…あたたかい湯気を、鼻と口からゆっくり吸います。10分ほどが目安です。熱すぎる湯気は、ぎゃくにのどをいためます。少しあたたかいくらいで十分です。
  • 部屋をうるおす…かわいた部屋は、のどの大敵です。しめった空気を保つと、のどがらくになります。
  • よく眠る…ねむっている間に、のどは自分で回復します。7〜9時間がめやすです。
  • コーヒーやお酒をひかえる…これらはのどをかわかせます。飲んだ日は、水を多めにとりましょう。

湯気や水のうるおいは、長くは続きません。少しずつ、何回も続けるのがコツです。

教えるときに役立つこと

生徒が風邪をひいたとき、指導者の声かけが助けになります。考え方を伝えてあげましょう。

  • 「今日は声を休ませよう」と、まず安心させます。休むことは、なまけではありません。回復のための練習です。
  • 「ヒソヒソ声はやめてね」と理由をそえます。なぜダメなのかを知ると、生徒は自分で守れます。
  • レッスンは、声を使わないものに切りかえます。楽ふを読む、リズムを手で打つ、聞く練習などができます。
  • 「治ってから、ゆっくり戻そう」と伝えます。一気に元のメニューに戻さないことが、再発を防ぎます。

体の話は、おどさずに伝えるのが基本です。ただし、強い痛みが続くとき、声が何日も出ないとき、たんに血がまじるときは別です。そのときは「お医者さん(耳鼻いんこう科)に相談してね」と、はっきり伝えてください。判断は専門の人にまかせます。これも大切な指導の一つです。

風邪のケアは、知っていれば誰でもできます。あなたが教える側として、どんな声かけが向いているか、まずは適性診断で確かめてみてください。

よくある質問

風邪のとき、小さなヒソヒソ声なら出してもいい?
おすすめしません。ヒソヒソ声は、ふつうに話すより、のどに力が入ってしまうことがあります。休ませたいときは、メモや文字で伝えるほうがのどにやさしいです。
声がれは何日で治る?練習はいつ再開していい?
治り方は人によってちがいます。まずはのどのはれが引くまで休ませてください。声が楽に出るようになってから、少しずつ元の練習に戻すのが安全です。強い痛みが続いたり、声が何日も出ないときは、耳鼻いんこう科に相談しましょう。
湯気を吸うとき、熱いほうがよく効く?
いいえ。熱すぎる湯気は、ぎゃくにのどをいためます。少しあたたかいくらいで十分です。1回10分ほどを目安に、少しずつ何回も行うと、のどがうるおいやすくなります。

参考にした一次情報

  • MUSEION 声楽用語事典(声のケア(風邪)の章)